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――コノ憎シミト同ジ強サデ、アナタダケヲ愛シテイル。
世界中の誰よりも、あなたのことを強く深く思っているのは、あなたに誰よりも負けたこの自分だ、と。
叫んでもあなたには届けない。届出も決して理解なんて出来ない。勝者と敗者は永久には交じりあえない。勝者は敗者を脅かし、敗者は勝者を憎みつづける。痛みなど理解できない。あわれみなど欲しささい。それが敗者の最後の抵抗だった。だけどその反面に、あなただけに理解してほしい自分がいる。
なぜ抵抗なんてしなければならないのだろう、自分は。どうしてすべてを投げ出してひれ伏すことができないのだろう。こんなに愛しているのに……！
せめてこの存在を知ってほしい。
あなたに誰よりも苦しめられている自分を。
この世界で一番あなたに苦しめられているのは自分だと、言わせてほしい。せめてそれだけ言わせてほしい。それすら許されないとしたら、もう何に救いを求めたらいいのかわからない！
「もう断ち切りたい」
直江の瞳から、また涙がこぼれ落ちた。
「あなたを、誰にも渡したくない」
「……」
「もう……断ち切りたい……」
うつむいて、涙をおとしながら直江はそれきり口を閉ざした。
（どうすることもできない……）
その言葉の意味を、高耶は今、心の底から深く強く理解した。
誰にも救えない……。
努力すればどうにかできる、なんて、嘘っぽちだと高耶は思った。自分の甘さを痛感した。この男は、もうほんとうに高耶に期待をしていなのだ。
彼が誰よりも求める人間である高耶にも、この存在を救うことは不可能だった。このことをこの男は、はじめからよく知っていたのだ。
高耶にはわからない。自分のどこが「理想的な人間」なのか。こんな人間のどこが「完全」で「理想」で、直江ほどの人間を脅かさねばならないというのか。
だが、そんなことは直江もよくわかっているのだ。数えきれないほどの欠点や弱さ。だがそれらすべでを自身の「輝き」と変える人間が、この世には存在する。自分の卑怯さも弱さも知っていて、それから目をそらすことのできない人間だげがもつ美しさ、妥協することを自身に許してやれない人間の、その宿命的な強さ……。
自分がそうありたいと思う姿を、目の前で体現している人。追求をやめず、己の弱さにあがきつづけるひとの姿はあまりにも美しく、そして……。
追求することすら放棄したい卑怯な自分を、その美しい存在は、追い詰める。その苦痛は限界ではないのだと。そう言って追いつめる。
敗北……。彼の前で認める、絶対的な敗北感。
ひとがひとに惹かれるのは、相手が自分の持っていないものを持っているからではない。同じものを持っていて、ただ、相手が自分のそれよりもどれだけ多いもっているかの違いなのだ。だから敗れる。
そして逃げられない。

愛されたとしたら、それは同情でしかない。
直江はそうして、身体の下で呆然としている「最愛の勝者」をまた見つめ下ろした。
「……あなたに勝ちたい」
もとめているのは、きっとそれだけ……。
それ以上の欲望なんて。
自分のなかには存在しない。

喜欢的段落太多了，数え切れない！桑原森赛的文采和纠结程度好棒！！
“如我对你的恨意般同样强烈地，只爱着你”  XD