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ただ女性には決して実感できはしないが、手元の小さな職争を勝ち抜く、それだけのことでも男には我を忘れるほどの力が必要なのだ。そうやって小さな勝ちを積み重ねて行った末に、一人のみが座る椅子が待っている。その椅子を目指して走りつづけてはいるが、さて辿り着いたときに自分が果たして幸福かどうか、その確信はない。しかし、一つだけ言えるのは、敗北は人間を卑しくしてしまうということだ。負けるということは、人の品性までも歪めてします。さきほどの竹井を見ても痛感する。自分を維持し、微かな誇りと夢を失わない、たったそのためだけでも、男は常に勝ち続けていかなくてはならない。
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