宇宙人(双语对照)
原著:星野源 (中文部分纯自翻,仅供交流使用)
母からメールが来た。
母亲发邮件来了。
「おじいちゃんが宇宙人になりました。」
“爷爷他变成外星人了。”
母の父親は萩本欽一さんに喋り方が似ている。「そうなんだよぉ」と語尾を上げて笑いながら喋る人だった。幾つになっても食べること、そして食べさせることが大好きで、小さい頃から毎年正月には星野家と従姉妹の一家が集まっておせちを食べ、お年玉をもらうのが恒例だった。次第に従姉妹も家庭を持ち、私も仕事で忙しくなり、なかなか全員では集まれなくなった。
母亲的爸爸说话的方式和萩本欽一(日本喜剧演员)很像,总是话中含着笑意,用上扬的语调结尾,像是“这样的哦”之类的。无论多大年纪,爷爷都喜欢吃饭和让别人吃饭。所以从小时候开始,每年新春,星野家以及我的表姐妹都必定会聚在一起,吃节菜、拿红包。随着表姐妹都组建了自己的家庭,我的工作也开始繁忙起来,大家就渐渐很难再聚到一起了。
それからおじいちゃんとは不定期に会食するようになる。だいたいいつも中華か焼き肉という重たい食事だ。
从此,我们和爷爷不时会一起聚餐,吃得基本都是中华料理或者烤肉这类重口的食物。
「源、金はあるのか?」「もっと食べろ」が口癖で、いつも小遣いを手渡してくれて、腹いっぱいにしてくれた。
他一直将“阿源,钱可还够用?”“要多吃一点啊”这些话挂在嘴边,给我零花钱,请我吃到饱。
月日は流れ、自分でもやっと金を稼げるようになった。去年の正月は中華で、たまにはおじいちゃん孝行しないとと思い、トイレに行くふりして店員に声をかけ、先に会計をしてもらい、払った。いつまでも心配させてはいけないし、もう一人前だぜ、大丈夫だぜ、というところを見せておきたかった。
时光轮转,我终于赚到了些钱。去年新春,我们去吃了中华料理。想着难得可以尽尽孝,我便假借去厕所的时机叫住服务员,提前付款结了账,心中想着:总不能一直让他们挂心下去,但愿他们能看到我的独当一面,相信我没有问题的。
店を出る時「払ったよ」と言うと、財布を用意していたおじいちゃんは驚いてしばらくフリーズし、それから喜んでくれた。けど、その笑顔の瞳の中にほんの小さな、若干の寂しさがあったような気がした。妙な罪悪感が心の中に残った。それから数ヵ月後、おじいちゃんは倒れた。
离开餐厅时,爷爷正准备拿出钱包,听到我说“已经付过了”之后,愣了一会儿,随即欣慰地笑了。然而在充满笑意的眼中,有几丝微弱的寂寞闪过眼底,让我突然心生愧疚。几个月后,爷爷病倒了。
癌が見つかり、手術して胃をほとんど摘出した。好きだった外食ができなくなり、めっぽう体力も落ちた。
爷爷查出了癌症,手术摘除了他大部分的胃,再也不能做他喜欢的事情——去外面吃饭,体力也一下子衰弱下来。
年明けに、病院にお見舞いに行くと、ずいぶん痩せたおじいちゃんが横たわっていた。看病していたお母さんは「事前に伝えると期待するから」と来ることを知らせていないかったらしく、ベッドの中で、私のことを幻を見るかのような目で見つめていた。開口一番、「ご飯食べてんのか?」と聞かれ、笑った。きっと、彼にとってはいつまでも、金がなく食いしん坊な孫なのだ。「食べてる」と言うと、おじいちゃんは俺の手を握って「来てくれてありが」と泣いた。涙は出ていなかった。でも顔が思いっ切りしわくちゃにして、震えていた。
年初我去医院探病,看到爷爷瘦弱的身躯躺在床上。看护的母亲怕“提前说会有期待”,所以没有告诉爷爷我来的事。他看到我,一时间还以为是自己的幻觉,等回过神来,开口便笑着问:“饭吃过了吗?”想来我对于他来说,一直都是那个没有什么钱,特别喜欢吃的孩子吧。我回答着“一直都有好好吃。”爷爷握着我的手,哭着说“谢谢你来看我。”他没有流泪,但脸却拧作一团,全身都在发抖。
あれは確実に泣いていたと思う。人は衰弱すると涙も出なくなるのだと知った。それが余計に悲しかった。別れ際、「また焼肉に行こう」と約束をして帰った。それから2ヶ月経ってきたのが、母からのあのメールだ。
我觉得那是在哭泣。我意识到人在虚弱的时候,连泪水都流不出来,而这一体会更令我感伤。告别前,我们相约“下次去吃烤肉”,然后我就走了。2个月后,妈妈发来了那封邮件。
「おじいちゃんが宇宙人になりました」
“爷爷变成外星人了。”
解説すると、つまりおじいちゃんがボケはじめ、こちらでは理解できないことを言い始めた、ということだ。
换句话说就是,爷爷开始神志不清,说我们听不懂的胡话了。
「そろそろ宇宙に帰るかもね」
“差不多要回到太空去了呢。”
つまり、そろそろ死んじゃうだろうということだが、しかし、そんな冗談のような書き方をされると、幾分くらうショックも和らぐ。『テキサス』の稽古の中だがお見舞に行かなくちゃと思っていたある日、メールが来た。
这就是马上会步入死亡的意思。不过,像这样以玩笑的语气写出来,缓和了信息给我带来的暴击。虽然舞台剧TEXAS正在排练阶段,但我仍想要抽时间去探病。正想着,我收到了邮件。
「宇宙への出発が延期になりました」
“太空之行要延期了。”
前は食事をすることもできず言葉も出なかったのが、この数日よく食べ、喋るようになったらしい。少しホッとして、もうすぐ初日を迎えるから、少し経って落ち着いたらお見舞いに行こう、と思っていた。
收邮件之前,我一直吃不下,也不太想说话。之后几天,我终于开始好好吃饭,和其他人的交流也多了起来,整个人松了口气,想着首场公演在即,等过了这段时间,就可以去探望爷爷了。
それから1週間が過ぎた。
这之后一周。
思ったよりもずっと早く、母からメールがあった。
母亲又发邮件来了,令人始料未及。
「今日、宇宙に旅立ちました」
“今天,爷爷出发去太空了。”
おじいちゃんが死んだ。
爷爷去世了。
通夜の日、舞台の本番を終えて、そのままタクシーに乗った。夜中の斎場にはもちろん誰もおらず、両親と従姉妹の叔母ちゃんだけが泊まり込みで線香を絶やさぬようにしていた。
到了守灵之日,舞台结束后我立刻搭上了计程车。晚上的火葬场空无一人,我父母及表姐妹的叔母守在里面,保证香能一直烧着。
数ヶ月ぶりに見た棺の中のおじいちゃんは、お見舞いに行った時の何倍も痩せこけてはいたが、ほおの肉が重力で下がったお蔭で口角が上がり、ちょっと笑っているような顔で寝ていた。最後の数日は、痰を吸い出す機械に苦しみ悶え、最終的には酸素マスクも苦しくなり、自分で外して手放さなかったそうだ。そして「もう勘弁してくれ」と言わんばかりに顔の前で両手を合わせたその日の夜、逝ったそうだ。きっととてもしんどかったんだろうけど、今の状態は安らかな笑顔である。
几个月没见的爷爷躺在棺中,比起上次去探望时消瘦了很多倍。他脸颊上的肉顺着重力向下,使得嘴角上扬,感觉是带着笑意熟睡了似的。听说最后那几天,爷爷饱受清痰机之苦,最终氧气罩戴着也觉得难受得紧,就自己摘下来,攥在手里不放。之后一天夜里,爷爷合掌在脸前,嘴里不断嘀咕“放过我吧”,然后就这样离世了。那个时候一定痛苦难耐吧,万幸现在,爷爷挂着安详的笑脸。
焼香をし、手を合わせて、一息つくと、自然と昔話が始まる。母や叔母から、いかにおじいちゃんが他の老人たちにモテたかという話を聞いたり、入院中、看護師に「源の嫁が来てくれて、一晩看病してくれた」という謎の会話をしていたという話を聞いて、「誰だ」と笑った。いつも私の結婚式に出たがっていたので、勝手に脳内処理したと予想する。ひとまず脳内だけでも結婚できてよかった。
敬香、合掌,待缓口气后,大家自然而然地开始聊起过去的事情。从母亲和叔母那儿听说了爷爷如何受其他老人欢迎,还有爷爷在住院时和护士说“小源的妻子来照顾了我一晚上”这样的迷之对话。“妻子是谁?”我不禁笑了出来。爷爷一直想出席我的婚礼,于是便自说自话地想象了吧。无论如何,能在爷爷脑中结成婚也是好的。
そんな話をして笑っては、棺桶の中の顔を指差して「おじいちゃんも笑ってるわ」と言って、ゲラゲラ笑った。それをひたすら繰り返した。
谈笑间,我指着棺材中的脸庞说“爷爷也在笑呢”,然后捧腹大笑起来。紧接着,话题又进入下一轮。
それから、母と叔母とハグをして帰った。二人ともよく笑っていた。自分の父親が死んだのである。自分だったら、ここまで冗談にできるだろうか。
母亲和叔母拥抱后便回去了。两个人都始终笑着。面对自己父亲去世,若是我的话,是否能像这样谈笑风生呢。
とりあえず、いつか俺が死んだら、すぐさまおじいちゃんが宇宙焼肉屋を予約するのは目に見えているので、できるだけ長生きして、「お疲れさま」と旨い焼き肉を一緒に食べたいものである。
不管怎样,我若是步入死亡,爷爷一定会马上去预约太空烤肉店的。所以我要长寿活着,待到离世后说一声“辛苦了”,再和爷爷一起去吃美味的烤肉。
--- 完 ---