化身の哭く森

7年前に消息を絶った祖父・武藤真一の痕跡を探すため、

「入らずの山」と呼ばれた広島の山中に入った

大学生・春日優斗と山岳部の仲間たち。

遭難することなく無事に山から下りた者たちだったが、

程なくして彼らは次々と死を遂げていく。

また武藤の遺品の中から見つかった探偵の名刺。

その渋谷という男もまた、

6年前に東京都内の自宅で熱中症のため若くして亡くなっていた。

武藤真一に関わった者たちに相次ぐ死。

これは祟りかそれとも……。

不祥事で警察をやめて探偵となった槙野康平と

鉄仮面と呼ばれる警視庁捜査一課の女性刑事・東條有紀が真相に迫る。

吉田 恭教

1960年、佐賀県生まれ。2010年、『変若水(をちみづ)』が島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の優秀作に選ばれ、翌年に同作でデビュー。以来、『ネメシスの契約』『可視える』など次々と上梓。近著に『背律』『亡者は囁く』がある。島根県在住。