第4巻から第9巻までが本大系の中心部分で、朱熹の著作を収めた部分にあたる。朱熹の著作は、朱子学研究において全て重要であるとされているが、特に重要なものが『四書集注』、『朱子文集』(正式には『晦庵先生朱文公文集』)、『朱子語類』(正式には『朱子語類大全』)である。『四書集注』は『四書』(大学・論語・孟子・中庸)の注釈書であり、通常は『四書或問』(特に『大学或問』と『中庸或問』)と並列して用いられるもので、朱熹の学問体系を最も緻密に著したものである。『朱子文集』は、朱熹の詩・書簡・雑論・祭文・墓誌銘などを纏めたもので、朱熹の死後に弟子達が編纂したものである。『朱子語類』は、朱熹に師事していた弟子達が、日頃の朱熹の発言を書き止めた「語録」と呼ばれる発言集を、互いに見せ合って纏めたものである。朱熹の肉声に近いものが多く、資料として珍重されるが、当時の口語表現がそのまま記録されているため、読解に困難が付きまとうとされている。
第4巻と第5巻は、『朱子文集』を抄録している。『朱子文集』は浩瀚な冊子であるため、本大系2冊分では全体のごく僅かの分量が収められたに過ぎないが、全体的に重要な文章が収録されている。第6巻は『朱子語類』を抄録している。『朱子語類』は『朱子文集』を上回る分量があるため、本巻に収録された部分は極めて少ない。なお『朱子語類』は当時の口語で書かれているため、現代語で翻訳されている。
第7巻と第8巻は『四書集注』を収めている。第7巻に『論語集注』と『大学章句』、および『孝経刊誤』が収録され、第8巻に『中庸章句』と『孟子集注』が収録されている。本大系では『四書集注』の原文に返り点を付け、その横に現代語訳を付し、さらに頁上欄に『四書或問』や古注(朱熹以前の注釈)で『四書集注』の理解の助けとなるものを配置している。これは本大系収録の『四書集注』を、大学・高校における漢文教育の参考書として利用可能なように配慮したためであるという。なお『四書集注』と併読する必要のある『四書或問』は、上記の通り、欄外に部分的に注記されるのみであり、独立しては本大系に収められていない。
第9巻は『近思録』を収めている。『近思録』とは、朱熹と呂祖謙が周敦頤・張載・程顥・程頤の発言・文章を抜粋編成して、後学の便宜をはかったものである。朱熹の先駆者で、朱子学と直接関係のある発言を知るのに便利な編纂物であるとされている。
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