環境デザインの展開

著者の仙田満氏が環境デザイン研究所を創立したのは1968年4月。仙田氏は本書で，環境デザインの意味や環境時代のデザイナーの意識について，34年間の実践を通して，とりまとめている。

仙田満設計事務所にしなかった理由として，同氏は従来の設計組織とは違う横断的デザイナーの集団をつくり，建築という領域を超える仕事をしたかったからと打ち明ける。この狙いは的中し，今や氏の仕事は建築を超えて，遊具から都市デザイン，地域デザインにまで広がっている。

本書のキーワードの一つ，「環境建築」とは，仙田氏によると「環境に配慮し，環境デザインの立場でつくられたビルド・エンバイアロンメント」。その環境建築を設計するのが環境建築家だ。本書は“環境建築家”を自称する氏の作品集でもある。特に，学生や若いデザイナーにとって，そのアプローチから学ぶものは多いはずだ。