内容简介 · · · · · ·
アジア・中近東・地中海の異なる風土や文化に触れながら,差異や落差の意味を反芻していくのが,かつての欧州航路の旅であった.寄港地では,列強によって分割された世界地図を意識し,自らのアイデンティティを確認する.使節や船員,文学者,美術家たちの紀行から浮かび上がってくるのは,近代日本の一世紀の歩みである.
■著者からのメッセージ
19世紀後半~20世紀前半に欧州航路でヨーロッパに赴いた人々は,異文化に触れながら,他者とは何か,自己とは何かを考え続けている.自己とは多義的な言葉である.そこに夫・妻・恋人などの対の意識をはめこめば,セクシュアリティをめぐるヨーロッパと日本の意識の偏差が浮き彫りになるだろう.自己という言葉に,国家や国民という共同性の意識をはめこめば,ヨーロッパの列強を追いかけるように肥大化していった,帝国のドラマが浮き彫りになってくる.それは他...
アジア・中近東・地中海の異なる風土や文化に触れながら,差異や落差の意味を反芻していくのが,かつての欧州航路の旅であった.寄港地では,列強によって分割された世界地図を意識し,自らのアイデンティティを確認する.使節や船員,文学者,美術家たちの紀行から浮かび上がってくるのは,近代日本の一世紀の歩みである.
■著者からのメッセージ
19世紀後半~20世紀前半に欧州航路でヨーロッパに赴いた人々は,異文化に触れながら,他者とは何か,自己とは何かを考え続けている.自己とは多義的な言葉である.そこに夫・妻・恋人などの対の意識をはめこめば,セクシュアリティをめぐるヨーロッパと日本の意識の偏差が浮き彫りになるだろう.自己という言葉に,国家や国民という共同性の意識をはめこめば,ヨーロッパの列強を追いかけるように肥大化していった,帝国のドラマが浮き彫りになってくる.それは他者と自己の版図を,つまり海の上の世界地図を塗り変えようとするドラマである.
欧州航路紀行史の他者と自己をめぐる声は一様ではない,しかし様々な声が反響するなかで,主調音のように束ねられてくる声がある.それはアジアを植民地化してきたヨーロッパの列強に対する憤りであり,植民地を統轄するイギリスへの感嘆であり,極東の帝国を目指す願望である.それらの主調音が交錯する先に,やがて「大東亜戦争」に突き進んでいく,「大東亜共栄圏」のイメージと構想が姿を現すのである.
(「序章」より)
『渡欧案内』再版(1936年,日本郵船)の航路図
作者简介 · · · · · ·
和田 博文(わだ ひろふみ)
1954年横浜市生まれ.神戸大学大学院文化学研究科(文化基礎論専攻)博士課程中退.東洋大学文学部教授.ロンドン大学SOAS客員研究員,パリ第7大学ポスドク,復旦大学大学院客員教授などを務める.著書に『シベリア鉄道紀行史――アジアとヨーロッパを結ぶ旅』(筑摩選書,第39回交通図書賞),『資生堂という文化装置1872-1945』(岩波書店),『飛行の夢――熱気球から原爆投下まで1783-1945』(藤原書店)など.共同研究に『上海の日本人社会とメディア1870-1945』(岩波書店),『言語都市・ロンドン1861-1945』(藤原書店)など.監修に『コレクション・モダン都市文化』全100巻,『コレクション・都市モダニズム詩誌』全30巻(以上ゆまに書房),『ライブラリー・日本人のフランス体験』全21巻(柏書房),『コレクション...
和田 博文(わだ ひろふみ)
1954年横浜市生まれ.神戸大学大学院文化学研究科(文化基礎論専攻)博士課程中退.東洋大学文学部教授.ロンドン大学SOAS客員研究員,パリ第7大学ポスドク,復旦大学大学院客員教授などを務める.著書に『シベリア鉄道紀行史――アジアとヨーロッパを結ぶ旅』(筑摩選書,第39回交通図書賞),『資生堂という文化装置1872-1945』(岩波書店),『飛行の夢――熱気球から原爆投下まで1783-1945』(藤原書店)など.共同研究に『上海の日本人社会とメディア1870-1945』(岩波書店),『言語都市・ロンドン1861-1945』(藤原書店)など.監修に『コレクション・モダン都市文化』全100巻,『コレクション・都市モダニズム詩誌』全30巻(以上ゆまに書房),『ライブラリー・日本人のフランス体験』全21巻(柏書房),『コレクション・日本シュールレアリスム』全15巻(本の友社)など.
目录 · · · · · ·
欧州航路の海図――地中海東部とシンガポール海峡
日本郵船の航路図と,ヨーロッパ列強の世界分割図
イギリス・フランス・オランダに色分けされた東南アジアの寄港地
マレー半島以西の寄港地と,極東の帝国の世界地図
第一章 幕末~明治の遣欧使節の航海記 1861-1873
· · · · · · (更多)
欧州航路の海図――地中海東部とシンガポール海峡
日本郵船の航路図と,ヨーロッパ列強の世界分割図
イギリス・フランス・オランダに色分けされた東南アジアの寄港地
マレー半島以西の寄港地と,極東の帝国の世界地図
第一章 幕末~明治の遣欧使節の航海記 1861-1873
[1] 文久遣欧使節の困難な航海と西洋体験
[2] 岩倉使節団が目撃した帝国の世界分割
第二章 一九世紀後半の列強が支配するアジアの海 1863-1902
[3] スエズ運河開通前に,伊藤博文・井上馨が帆前船でロンドンへ
[4] イギリスの近代的造船所と,植民地下のアジアの「下等社会」
[5] 日清戦争後に日本が,極東の帝国を目指して膨張する
[6] 日本郵船欧州航路第一船が,139日かけて往復する
[7] 「旧世界」から「新世界」へ――1900年パリ万国博覧会
[8] イギリス人が書いた渡欧案内書の文化の違い
[9] 巌谷小波・渋沢栄一・岡倉天心が開いた甲板演説会第三章 日露戦争後の帝国と南方への進出 1902-1913
[10] 日露戦争での欧州航路船舶徴用と,中立国船の雇い入れ
[11] 仏教の聖地セイロンを,鎌倉の東慶寺住職が再訪する
[12] 1910年前後の東南アジアへの移民と,マレー半島のゴム園
[13] エホバが吹き分けた海,モーセの十誡の山
[14] 英皇戴冠式に向かう東郷大将と乃木大将の戦争回顧
[15] カイロでコプト教徒の娘が石井柏亭に求愛する
[16] 三浦環のゴム林に響く歌声,シンガポールの「からゆきさん」
第四章 第一次世界大戦とドイツ潜航艇の無制限商船撃沈 1914-1921
[17] 地中海での八阪丸沈没と,喜望峰迂回航路
[18] 欧州航路船の武装化と,パナマ運河経由への転航
[19] 宮崎丸の最後から二番目の航海,ケープタウンの「有色人種」上陸禁止
[20] 社外船船長がテムズ河口で,英印大型汽船の爆発を目撃する
[21] 第一次世界大戦の終結と,エジプトの独立運動
[22] 日本郵船の元乗組員が航路案内書をまとめる
[23] 写真紀行中の三宅克己が見た,地中海の浮流水雷
第五章 一九二〇年代に到来するツーリズムの季節 1921-1931
[24] 視察者・観光客・留学生の急増と,大阪商船の欧州航路参入
[25] 国画創作協会同人が「芸術巡礼」で,寄港地の風物をスケッチする
[26] 漫画家・近藤浩一路の初洋行と弥次喜多珍道中
[27] パリ・オリンピック大会出場選手の船上トレーニング
[28] 船室の階層性と,インド人のデッキ・パッセンジャー
[29] 外国汽船・シベリア鉄道に対抗する航海日数短縮と,各種ガイドブックの発行
[30] 和辻哲郎が関心を抱いた,風土・気候と文化の関わり
[31] 船医の視線――船酔い・心理変調と,優秀客船の記憶
[32] 船上の異文化性――フランス・イギリス・ドイツ・日本の郵船
[33] 金子光晴・森三千代が一年かけてマルセイユに到着する
第六章 ファシズムの跫音と第二次世界大戦 1931-1945
[34] 満州事変・第一次上海事変による避難民の輸送
[35] 1930年代前半の欧州航路と,「名士」の帰国報道
[36] 高浜虚子・横光利一の句会と二・二六事件
[37] 二葉亭四迷伝説と,豪華船時代の幕開け
[38] 日中戦争・第二次上海事変後の上海寄港の中止
[39] 野上豊一郎の古代復元図の幻視,野上弥生子の日本の相対化
[40] 深尾須磨子のイタリア行と,第二次世界大戦勃発
[41] イギリス東海岸沖の照国丸爆沈と,イタリアの参戦
[42] ヨーロッパからの引揚げ,「大東亜戦争」による欧州航路の消滅
第七章 敗戦後の渡欧と,欧州航路客船時代の終焉 1946-1964
[43] 荻須高徳の戦跡をたどる渡航と,日本郵船欧州航路の再開
[44] スエズ戦争の勃発と,ヨーロッパへの航空機時代の到来
あとがき
欧州航路関係年表
人名索引
· · · · · · (收起)
海の上の世界地図的书评 · · · · · · ( 全部 5 条 )

封面很美,内容不敢恭维

2018年社科文献最美图书奖——海上新世界

《海上新世界:近代日本的欧洲航路纪行》后记

《海上新世界:近代日本的欧洲航路纪行》后记
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